組織開発の価値は?
~組織開発とはなにか2~
2015年04月27日
マーシャックによる4つの価値
『渚の風』第3号では、障害者支援施設・三恵園(大阪府池田市)で始まった「三恵園の未来に向けての組織と人づくりプロジェクト」を進める方法である「組織開発」(Organization Development)について紹介しました。組織開発は組織のプロセスを主に取り扱う実践で、社会福祉の世界ではまだまだなじみは薄いですが、企業を中心に関心が高まっています。
今回は組織開発の「価値」について紹介します。組織開発の著名な研究者・教育者であるアメリカン大学のマーシャックによれば、組織開発は価値を基盤とした実践です。価値を大切に、価値の実現を目指して、組織開発を実践するということです。マーシャックは、①ヒューマニスティックな哲学、②民主主義の原則、③クライエント中心のコンサルティング、④社会生態学的システムへの志向性の4つを具体的な価値としてあげています。
根底には人への信頼
ひとつめのヒューマニスティックな哲学とは、集団や組織やコミュニティといった社会システムがヒューマニスティックな志向性を持ち人々のポジティブな可能性を信頼することです。人の善性を信じ、個々人は変化し成長する可能性を持つ、個々人の価値や尊厳を重んじる、といった人間観が強調されます。
②民主主義の原則では、より多くの人が意思決定に参加することが重視されます。特別な知識を持った人々が代表して決定するのではなく、人々には知恵があると信じより多くの人々が意思決定のプロセスに参画することが目指されます。