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セミナー

発達障害&自閉症

2012年12月08日

 利用者さんの支援において、「支援員の資質向上」は常に心がけなければならない最も重要なファクターです。法人では、各界から専門家を招いてセミナーや勉強会を開き、福祉の専門職としてのスキルを磨いています。法人で力を入れている発達障害者の支援講座を紹介します。


□ 発達障害

 発達障害は、自閉症やアスペルガー症候群などの広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害など、脳機能の発達に関係する障害です。他人との関係づくりやコミュニケーションなどが苦手ですが、優れた能力を発揮する場合もあります。発達障害の人たちが個々の能力を伸ばし、社会の中で自立していくためには「気づき」と「適切なサポート」が重要です。

□ 自閉症講座

 池田市の「三恵園」と「くすのき学園」を中心に、発達障害者の支援講座を行っています。メインの講師は横浜市発達障害者支援センターの小林信篤所長です。主なテーマは「自閉症の特性や理解、生活支援について」です。
 自閉症の人が安定して課題に取り組むためには、自閉症の障害特性と個人の状況について支援者が正しく理解し、困難さへの配慮をすることが重要です。自閉症の人たちの困難さをまとめると、次のようになります。
 1 社会的な関係性やルールが理解しがたい。   
   指導や注意ばかり受けることがストレス要因となる。
 2 コミュニケーションが上手にできない。
   相手の意図が理解できなくなって困ってしまう。
   自分の意図が伝わらなくて困ってしまう。
 3 自分を時間と空間の中に位置づけることが難しい。
   見通しが持てないことが不安につながる。
 4 感覚入力がコントロールできずに混乱してしまう。
   何が苦手か、何がわからないのか、何に困っているのかが分からないこ とが不安やストレスの要因となっている。
   つまり、社会的な関係を結んだり維持することが難しく、特に言語の社会的関係での使用が困難です。そして、概念形成や抽象的   な思考の理解が難しく、学習した行動を新しい場面に一般化・応用することも苦手という特性です。

□ ティーチ

 そんな自閉症の特性を理解したうえで、支援の在り方を考えよう、と小林先生は話します。小林先生が重きを置くのが、米国ノースカロライナ大学の故エリック・ショプラー博士が創設したティーチ=TEACCH(Treatment and Education of Autistic and related Communication-handicapped Children) という手法です。
 ティーチの特長は、利用者さんへのアプローチの方法にあります。なかでも「構造化」と呼ばれる手法が根幹になります。
障害の重い利用者さんほど、自分が今、何をすればよいのかわからなくなることが多く、不安に襲われて混乱します。自閉症の利用者さんにとって、自由ほどつらいものはない、という視点から組み立てるのが「構造化」です。
 まず、場所を「構造化」します。生活の場において、ここは作業をする場所(ワークエリア)、ここは遊ぶ場所(プレイエリア)といったように、ついたてを置いたり、カーペットの色を変えたりして、視覚的に明確に場所の意味を理解できる環境を創ります。
 次に、時間を「構造化」します。自閉症の利用者さんは予期しないことに直面すると不安を抱きます。一つひとつの行動を文字や絵で1枚1枚のカードに表し、利用者さん一人ひとりに合わせた時間割表にそのカードを貼り付け、壁などに掲げます。利用者さんは、時間がきたらカードを1枚手に取り、構造化された場所に移動して作業などに取り組みます。自閉症のみなさんの「視覚優位」の特性を存分に活かした支援です。

□ 地域移行

 小林先生に最初に講義を受けたのは2007(平成19)年4月でした。それから毎年、小林先生の指導を受けながら、三恵園とくすのき学園の支援員はティーチの手法を学びました。そして「1対1の場面」で教えることや「肯定的支持的な合図をする」ことなどを心がけて、工夫をこらしながら支援してきました。
 その結果、三恵園では自閉症の利用者さんが施設の近くの地域のグループホームに移り、自立した生活を送るなど大きな成果を得ました。
 小林先生の講座は今、地域の人々にも開放されています。そして両施設の取り組みは、広く福祉関係者にも評価され、視察が相次いでいます。

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