変革の進め方
~組織開発とはなにか3~
対話型組織開発の出現
以上は、アメリカで確立した伝統的な変革の進め方で、「診断型組織開発」と呼ばれています。これに対し、データ収集、データ分析、フィードバックという「診断」、すなわちリサーチの段階がない「対話型組織開発」が 1990 年代頃から出現したと言われています。しかし中村氏は、「対話型組織開発」 に診断がないのではなく、組織開発実践者が当事者の代わりに現状把握を行うのが「診断型」で、当事者同士が対話して現状を把握するのが「対話型」であると述べています。
診断型組織開発では どちらかというと組織開発実践者がイニシアチブをとってデータ収集と分析を行うのに対し、対話型では、当事者同士で対話をすることで、現状を把握し、問題・ニーズを明らかにする、そして、組織開発実践者は当事者間の対話が進むようにそのプロセスをファシリテートする点が両者の違いといえましょう。
では、三恵園の「未来に向けての組織と人づくりプロジェクト」の場合、変革の過程はどのように進み、どの段階まで進んでいるのでしょうか? 次回では、組織開発の変革過程の枠組みと関連づけながら、三恵園のプロジェクトにおける、これまでの実際の過程を振り返ります。
【参考文献】
Haneberg,L.(2005).Organization Development Basics. Alexandria,VA:ASTD Press.
(ヘインバーグ,L. 川口大輔(訳)(2012).『組織開発の基本ー組織を変革するための基本的理論と実践法の体系的ガイド』ヒューマンバリュー社)
中村和彦(2015)『入門 組織開発ー活き活きと働ける職場をつくる』光文社新書
<福祉の季刊紙「渚の風」5号(2015.7.30)の記事の一部を2018年2月26日に修正・加筆して再掲>
(次回は社会福祉法人「産経新聞厚生文化事業団」のホームページに掲載します)