連載きずな

 産経新聞西日本朝刊で連載してきた「きずな―三恵園日記」は、令和元年6月から「きずなNEWS」として模様替えし、新たにスタートします。

 事業団は、産経新聞社の社会貢献を目指して昭和19(1944)年に設立されました。社会福祉法人として、支援を必要とする人々のために幅広い活動をする「公益事業」と、障害のある人々を直接支援する「社会福祉事業」を2本柱としています。

 平成28(2016)年4月の改正社会福祉法の施行で社会福祉法人には地域における公益活動が義務付けられ、それまでより一層「地域福祉」「地域共生」を強力に推し進めるよう求められました。

 これを受け、きずなNEWSでは事業団が運営する施設の日常の表情を報告するだけでなく、施設と地域との交流、事業団の社会公益活動についても紹介していきます。

 平成22年6月からスタートした「きずな―三恵園日記」は23年10月、それまでの約1年半にわたる連載記事をまとめた「きずな-三恵園日記」として刊行され、26年1月には過去の記事から118の物語をテーマごとに編集した「障害者支援の1200日 ありがとう」として刊行されました。どちらも福祉現場の”ちょっといい話”が満載です。ご希望の方は事業団本部までお問い合わせください。

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連載きずな

【きずな「三恵園」日記】楽しいミュージック・ケア

2019年05月28日

 「さあ、両手を挙げましょう」「今度は体の一部を触れてください」。講師の呼びかけで利用者は体を動かす。音楽に合わせて軽い体操をする音楽療法の一種、ミュージック・ケアの講座が、能勢町の「救護三恵園」で人気を集めている。利用者は普段なかなか見せない満面の笑みを浮かべ、楽しい時間を過ごす。

 ■好ましい成果表れる

 ミュージック・ケア講座は、利用者がイスに座り、唱歌や民謡を歌いながら鳴子や鈴などを使って音を鳴らし、手足の運動をする。京都府亀岡市在住の健康運動指導士、永田操さんを講師に招いて昨年3月から毎月1回、施設内のフロアで開催。音楽のカセットテープは永田さんが曲目を選んでその都度持参するが、だれでも口ずさめる曲が多い。このテープに合わせ約1時間、一連の体操と取り組む。

 参加するのは60歳代から90歳までの約15人。高齢化が進む中、健康維持のために取り入れた。1年以上続けたところ、手を動かす範囲が広がったり、足踏みをするテンポが速くなったりと、好ましい成果が出てきた。また、集団で行うことが心地よい刺激になり、利用者間の会話が増えたという。

 ■心をつなぎ、紡ぐ

 「私の顔を見るなり、『待っていたよ』『元気だった?』と利用者さんが笑顔で迎えてくれます」と永田さん。「これからも音楽を通じて心身と生活に良い影響が出るよう努めていきたい」と話す。

 利用者の中には「先生、また来てください」と、愛嬌を振りまく女性もいる。使い終わったラップの芯をたたいて音を出す利用者も。

 永田さんとは以前からの知り合いで、講座開催に尽くした津川まゆみ支援員は、「ミュージック・ケアは人と人との心をつなぎ、紡いでくれます。利用者さんの健康はとても大事なテーマで、年齢を重ねてもできることが広がるよう今後も寄り添っていきたい」と意欲をみせる。

(三宅統二)

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