連載きずな

 産経新聞西日本朝刊で連載してきた「きずな―三恵園日記」は、令和元年6月から「きずなNEWS」として模様替えし、新たにスタートします。

 事業団は、産経新聞社の社会貢献を目指して昭和19(1944)年に設立されました。社会福祉法人として、支援を必要とする人々のために幅広い活動をする「公益事業」と、障害のある人々を直接支援する「社会福祉事業」を2本柱としています。

 平成28(2016)年4月の改正社会福祉法の施行で社会福祉法人には地域における公益活動が義務付けられ、それまでより一層「地域福祉」「地域共生」を強力に推し進めるよう求められました。

 これを受け、きずなNEWSでは事業団が運営する施設の日常の表情を報告するだけでなく、施設と地域との交流、事業団の社会公益活動についても紹介していきます。

 平成22年6月からスタートした「きずな―三恵園日記」は23年10月、それまでの約1年半にわたる連載記事をまとめた「きずな-三恵園日記」として刊行され、26年1月には過去の記事から118の物語をテーマごとに編集した「障害者支援の1200日 ありがとう」として刊行されました。どちらも福祉現場の”ちょっといい話”が満載です。ご希望の方は事業団本部までお問い合わせください。

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【きずな「三恵園」日記】土嚢作りで社会貢献を

2018年08月28日

大雨などによる浸水被害を少なく食い止めようと、池田市の就労継続支援事業所「ワークスペースさつき」の利用者は、土嚢(どのう)袋に土を入れる土嚢作りに取り組んでいる。災害に備えた市の委託事業で、納品した土嚢は市の指定した場所に置かれ、洪水時などに活用される。利用者は「土嚢作りで社会に役立ちたい」と意欲をみせる。
■2人一組で協力して作業
土嚢作りにあたるのは、舘野健太さん(27)や杉本航さん(23)ら20~30歳代の利用者6人。縦約60㌢、横約45㌢の土嚢袋に2人一組で協力し、大きなスコップで5杯程度の土を入れていく。袋の約7割、15㌔ほどが入ったところで袋の上部に付いているヒモを引いて口を絞り、口の周りを3~4回まわして締める。これで1袋が完成する。
この作業を利用者は何回となく繰り返し、1日で土嚢を平均30袋くらい作る。大変な力仕事だが、舘野さんらは「水害が起きたときに私たちの作った土嚢で家屋への浸水を防いだり、排水路を作ったりすることができます。社会に貢献できる作業なので、やりがいを感じます」と胸を張る。そのうえで、「土を多く袋に入れると、袋が破れやすくなるので見極めが必要」などと、作業の難しさも指摘する。
■「あと○袋、頑張ろう」
土嚢袋と土は池田市から配布される。市は豪雨などによる近年の浸水被害を踏まえ、応急対策として土嚢作りを発注。できあがった土嚢は、市が市内8カ所に設置している災害用備蓄基地「土嚢ステーション」などに運ばれ、市民らに使ってもらっている。
事業所の仲義智陽支援員は「利用者さんに『あと○袋、頑張ろう』などと声かけをしながら励んでいます。市は従来、高齢者グループに発注していましたが、作業をする人から『しんどい』との声があがり、若い人の多い事業所が引き受けました。重労働なので適度な休憩と水分補給は欠かせません」と話す。
受注したのは今回400袋。利用者は今日もチームワークで作業に精を出す。
                                                                                                                                                                        (三宅統二)

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