連載きずな

 産経新聞西日本朝刊で連載してきた「きずな―三恵園日記」は、令和元年6月から「きずなNEWS」として模様替えし、新たにスタートします。

 事業団は、産経新聞社の社会貢献を目指して昭和19(1944)年に設立されました。社会福祉法人として、支援を必要とする人々のために幅広い活動をする「公益事業」と、障害のある人々を直接支援する「社会福祉事業」を2本柱としています。

 平成28(2016)年4月の改正社会福祉法の施行で社会福祉法人には地域における公益活動が義務付けられ、それまでより一層「地域福祉」「地域共生」を強力に推し進めるよう求められました。

 これを受け、きずなNEWSでは事業団が運営する施設の日常の表情を報告するだけでなく、施設と地域との交流、事業団の社会公益活動についても紹介していきます。

 平成22年6月からスタートした「きずな―三恵園日記」は23年10月、それまでの約1年半にわたる連載記事をまとめた「きずな-三恵園日記」として刊行され、26年1月には過去の記事から118の物語をテーマごとに編集した「障害者支援の1200日 ありがとう」として刊行されました。どちらも福祉現場の”ちょっといい話”が満載です。ご希望の方は事業団本部までお問い合わせください。

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【きずな「三恵園」日記】心も体もほぐれる「歌体操」

2018年05月22日


「この曲、知ってるわ。歌いながら体を動かす『歌体操』をすると心も体もほぐれ、作業も頑張れます」。こう話すのは、能勢町にある生活介護事業所「なごみ苑」の女性利用者、山口正子さん(73)=仮名=だ。平成19年4月の事業所開所当初から毎月1回訪れるボランティアグループの「歌体操」に休まず参加している。骨折した際も機能訓練として取り入れたといい、正子さんにとって歌体操は健康づくりに欠かせず、生きがいにもなっている。
■長年笑顔で出迎え
正子さんは事業所がオープンしてから、ずっと利用している。同町内のグループホームに入居しながら、日中は事業所に通い、座布団作りに必要な素材の色分け作業をしたり、折り紙用に作られた専用紙を手で引き裂いて張り絵の作品に仕上げたりしている。27年7月、グループホームで誤って転倒し骨盤の一部を骨折したが、「リハビリになる」と歌体操には皆出席している。
「なじみのある童謡などを歌って体操をするのが正子さんには取っ付きやすかったのでしょう。利用者さんは一つのことを続けるのは苦手ですが、こんなに長い期間楽しむのは珍しい」と枝光沙織支援員。
歌体操が行われる日、正子さんは事業所の玄関でボランティアグループの訪問を待ち続ける。気分がすぐれないときも笑顔で出迎え、歌体操に参加。腹の底から声を出して歌い、リフレッシュする。
■フレンドリー体操とも
ボランティアグループは、産経新聞厚生文化事業団が運営する別の施設に勤務していた同町在住の田中久美子さんら数人で活動。なごみ苑では、参加希望者を対象に約1時間、聞き覚えのある曲が入ったカセットテープを流しながら、タオルを使った体操などを利用者に指導している。
歌体操は実は、「フレンドリー体操」と呼ばれている。グループのメンバーが「仲間と一緒に楽しく」との願いを込めて名付けたが、「正子さんは自分なりの解釈でメンバーは友だちと思っているのでは」と事業所。それが皆出席にもつながっていると話す。
                                                                                                                                                            (三宅統二)

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