連載きずな

 連載「きずな―三恵園日記」は、事業団が運営する施設で日々繰り広げられている日常の表情を中心に報告しています。産経新聞西日本版朝刊で平成22年6月から連載がスタート。

現在は大阪版が毎月奇数火曜日朝刊、他の西日本地域版は随時、主に朝刊に連載中です。

平成23年10月、それまでの約1年半にわたる連載記事をまとめた「きずな-三恵園日記」を刊行。平成26年1月、過去の記事から118の物語をテーマごとに編集した「障害者支援の1200日 ありがとう」を刊行しました。福祉施設の現場で起きる笑い、涙、驚き、喜びなど、「現場」の”ちょっといい話”が満載。ぜひお読みください。

ご希望の方は、書店、インターネット、または事業団本部までお問い合わせください。

連載きずな詳細

連載きずな

【きずな「三恵園」日記】店内を彩る手作り陶器

2017年02月14日

 障害者支援施設「三恵園」(池田市)の利用者3人が先日、昼ご飯を食べに出かけた。訪れたのは観光スポット、新世界。大衆演劇のメッカ「朝日劇場」ビル1階にあるすし店「六鮮」(大阪市浪速区)だ。客でにぎわう店内で、それぞれが好きな料理を注文した。ある女性利用者は、献立にある天ぷらを口に運びながら、「本当においしい」とはじけるような笑顔を見せた。

■「役に立ちたい」に応える
 料理には、三恵園で作られた食器が使われている。ふだん施設内の工房で陶芸作業を担当している3人は、自分たちの作った陶器に盛られたごちそうを楽しみにやってきたのだ。
 六鮮からは昨年秋、三恵園に「年末にオープンする店で使う器を作ってほしい」と注文があった。きっかけは六鮮の代表、松島稔さん(33)が三恵園を訪れたときに参加した陶芸体験だった。松島さんは利用者らが作った陶器を見て、「どれひとつ同じ形はなく、素朴で味わい深い」と気に入った。
 さらにその売り上げが利用者の賃金になると知り、「障害がある人たちが継続して仕事ができるよう、少しでも役に立ちたい」と食器への採用を決めた。

■試行錯誤し黙々と作業
 「お店の要望に添うようないいものを、と心がけました」と話すのは、陶芸指導を担当する支援員の内田拓さん(25)だ。
 苦心したのは、天ぷらのつけ汁を入れる小鉢。深すぎず浅すぎず、持つ手に収まる大きさになるよう、何度も試作を繰り返した。
 実際の作業ではできるだけ利用者が取り組みやすいよう工夫したという。
 利用者らは材料の粘土を平らに伸ばしたり、手で型をとったり、縁を磨いたり、黙々と作業をこなし、一月かけて仕上げた。
 昼食を終えた帰り道、「また頑張らなあかんね」と利用者の一人が言った。内田さんは「仕事を通じて利用者が社会とつながる機会を増やしていきたい」と話している。            (企画推進本部 和田依子)

ページトップにもどる