連載きずな

 連載「きずな―三恵園日記」は、事業団が運営する施設で日々繰り広げられている日常の表情を中心に報告しています。産経新聞西日本版朝刊で平成22年6月から連載がスタート。

現在は大阪版が毎月奇数火曜日朝刊、他の西日本地域版は随時、主に朝刊に連載中です。

平成23年10月、それまでの約1年半にわたる連載記事をまとめた「きずな-三恵園日記」を刊行。平成26年1月、過去の記事から118の物語をテーマごとに編集した「障害者支援の1200日 ありがとう」を刊行しました。福祉施設の現場で起きる笑い、涙、驚き、喜びなど、「現場」の”ちょっといい話”が満載。ぜひお読みください。

ご希望の方は、書店、インターネット、または事業団本部までお問い合わせください。

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【きずな「三恵園」日記】心かよう朝のバス乗り場

2017年01月31日

 「おはようございます。いってらっしゃい!」
 冬の寒い朝。池田市伏尾台の交差点で、民生委員の大村満憲さん(67)は登校する小中学生や出勤途中の住民らに、明るく声をかけている。
 登校時の見守りを終えると少し歩き、市が運営する「施設循環福祉バス」の乗り場に移動。バスに乗る高齢者や、福祉作業所の送迎車を待つ障害者を見守る。こうした見守りを6年間続け、今では地域の「朝の顔」となった。

■「いてくれるとうれしい」
 福祉バス乗り場で大村さんと会うのを楽しみにしているのは、山田隆幸さん=仮名=(55)だ。バス乗り場近くのグループホーム「伏尾台ホーム」で暮らし、昼間は市内の福祉作業所で働く。送迎車が来るまでのひととき、仕事の悩みや仲間との人間関係など、いろんな話をするのが朝の習慣になっている。山田さんはバス乗り場に立つ大村さんを見つけると、「朝、ここにいてくれるとうれしい」とほっとした表情で言った。
 伏尾台ホームの職員、井手邦枝さん(49)は、「大村さんが『今朝は元気がなかったよ』など、私たちが気づかない利用者さんの様子を教えてくださるので、助かります」と話している。

■「ご近所さん」の視点
 ある日の夕方、大村さんが山田さんの部屋を訪ねた。月に一度、ホームの職員が苦情相談に応じる「にこにこ会」に、他の民生委員らとともに参加するためだ。「ご近所さん」の視点で地域の催しを伝えたり、気づいたことを職員に話したりする役割を担う。
 「こうした機会に利用者さんの笑顔が見られるのはうれしい」と大村さん。「障害がある人たちの生活を知ったことで、街で出会っても、ためらいなく声をかけられるようになった」と自らの気持ちの変化を話している。

                                      (企画推進本部 和田依子)

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