連載きずな

 連載「きずな―三恵園日記」は、事業団が運営する施設で日々繰り広げられている日常の表情を中心に報告しています。産経新聞西日本版朝刊で平成22年6月から連載がスタート。

現在は大阪版が毎月奇数火曜日朝刊、他の西日本地域版は随時、主に朝刊に連載中です。

平成23年10月、それまでの約1年半にわたる連載記事をまとめた「きずな-三恵園日記」を刊行。平成26年1月、過去の記事から118の物語をテーマごとに編集した「障害者支援の1200日 ありがとう」を刊行しました。福祉施設の現場で起きる笑い、涙、驚き、喜びなど、「現場」の”ちょっといい話”が満載。ぜひお読みください。

ご希望の方は、書店、インターネット、または事業団本部までお問い合わせください。

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連載きずな

【きずな「三恵園」日記】仲間つなぐ、指切りげんまん

2017年01月17日

 日差しが柔らかい冬のある日の午後、グループホーム「大里荘」(能勢町)で暮らす中西敏子さん(87)と藤川英子さん(83)が、救護施設「三恵園」(同町)の入所者で最高齢の斎藤末子さん(95)を訪ねた。末子さんは昨年9月、町長から長寿祝いの訪問を受けていた。噂で知った2人は「私たちもお祝いを」と手作りのくす玉を渡しに来たのだ。末子さんは、2人の顔をじっと見つめて手を取り、「よう来てくれたねぇ」と目尻を下げた。

■姉妹のような2人
 2人はかつて、末子さんらとともに三恵園で生活していたが、20年ほど前、地域のグループホームに出た。両親と早く死別した敏子さんと、幼い頃から児童施設で生活してきた英子さん。その2人はなぜか気が合い、今では姉妹のような関係だ。元旦には一緒に雑煮を食べ、初詣に行った。行動的な敏子さんとおっとりした性格の英子さん。好対照の〝相棒〟だ。
 リビングルームで話していると、別の入所者らが「元気にしてた?」などと声をかけ、いつの間にか人垣が。2人は昔一緒に生活した仲間とともに、お茶とお菓子で楽しいひとときを過ごした。

■人をつなぐのも支援
 「楽しそうな笑顔が見られ、こちらも温かい気持ちになりました」と話すのは2人に付き添った支援員の小北みどりさん(55)だ。三恵園の職員と連絡を取りながら、この日、利用者らをつないだ。家族と縁の薄い利用者らの、人間関係をつなぐのも大切な支援だ。
 かつて三恵園にいた70人の同年代の仲間が、今は20人ほどに。多くは高齢者だが、けっして独りぼっちではない。
 「今度は私たちのところにも遊びに来て」と誘う敏子さんに、末子さんが「指切りげんまん」。小北支援員は「約束はきっと私たちがかなえるよ」。今年の新たな目標ができた。       (企画推進本部 和田依子)

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