連載きずな
産経新聞西日本朝刊で連載してきた「きずな―三恵園日記」は、令和元年6月から「きずなNEWS」として模様替えし、新たにスタートします。
事業団は、産経新聞社の社会貢献を目指して昭和19(1944)年に設立されました。社会福祉法人として、支援を必要とする人々のために幅広い活動をする「公益事業」と、障害のある人々を直接支援する「社会福祉事業」を2本柱としています。
平成28(2016)年4月の改正社会福祉法の施行で社会福祉法人には地域における公益活動が義務付けられ、それまでより一層「地域福祉」「地域共生」を強力に推し進めるよう求められました。
これを受け、きずなNEWSでは事業団が運営する施設の日常の表情を報告するだけでなく、施設と地域との交流、事業団の社会公益活動についても紹介していきます。
平成22年6月からスタートした「きずな―三恵園日記」は23年10月、それまでの約1年半にわたる連載記事をまとめた「きずな-三恵園日記」として刊行され、26年1月には過去の記事から118の物語をテーマごとに編集した「障害者支援の1200日 ありがとう」として刊行されました。どちらも福祉現場の”ちょっといい話”が満載です。ご希望の方は事業団本部までお問い合わせください。
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【きずな「三恵園」日記】世話人さんの献立改革
2015年06月16日
産経新聞厚生文化事業団が能勢町内で運営する18のグループホームでは利用者の高齢化が進む。平成25年度に実施した健康診断では、利用者らの半数以上に問題が見つかった。職員らは保健師と栄養士に相談し、食事で改善を図ることに。献立の見直しを進めた結果、昨年夏の健診では生活習慣病にかかわる数値のうち、脂質異常で6割、血糖値で4割の利用者に改善が見られ、職員らを大いに驚かせた。
■現場支える41人
献立の見直しを積極的に進めた職員、北村幸恵さんは、背景の一つに「世話人さんと職員が共に取り組んだ研修会」を挙げる。
「世話人」とは、ホームに通い、朝夕の食事作りや身の回りの世話をする非常勤職員のこと。多くは、町内に住む、子育てを終えた60~70歳代の女性たちだ。北村さんは栄養士ら専門家を招き、41人の世話人とともに「食」に関する勉強や調理実習をする研修会を実施。改善に努めた。
洋食中心から和食中心へ。肉より野菜や魚。みそ汁の具材を増やす。調味料を控えカツオ・コンブの天然のうまみで味付ける・・・。手間はかかるものの、進んで新しいレシピの調理に励むようになり、その成果は数値となって表れた。
世話人の山岡恵子さんは「研修を受けたことで買い物時に、食品のカロリー表示を確認するようになった」と意識の変化を話す。
世話人歴8年の山岡さんにとって、今やホームの利用者は「第二の家族」だといい、一番気にかけるのは健康だ。「食事によって、利用者さんが飲んでいる薬の量を少しでも減らしたい」と、意気込んだ。
■自作レシピ集も
献立改革をきっかけに、世話人らが調理にじっくり時間が取れるよう、1ホーム1人の余裕のある勤務体制になった。調理をサポートするツールの一つが北村さんが作った「レシピ集」。世話人の献立作りの悩みに応えるため、インターネットなどで集めた情報をまとめた。定期的に〝発行〟し、世話人全員に配布。献立改革は今も続く。
(企画推進本部 和田依子)