施設運営
こすもすの1日
理学療法を利用した支援
理学療法を利用した支援
2012年12月13日
生活介護事業所「こすもす」(池田市)は、身体と知的障害を併せ持つ利用者が多い。運動に意欲をみせず寝たまま日々を過ごし体の骨格が変形したり筋肉が弱くなったりする。このため理学療法士の岡崎浩志さんが関節や手指の動き、歩行練習をしている。
「運動機能が低下しているため、身体の動きに気をとられがちですが、実はそれだけでは効果をあげられません」と、岡崎さん。
言葉を話せない利用者は感覚に敏感だ。手足に少し触られただけで拒否反応を示す。なぜ運動をするかということも理解が困難だ。だからまず信頼関係を築くことから始めるという。
畑友子さん(29)はバランスをうまくとれず、姿勢を保つのが困難だが、当初は担当職員の柳原悠介さんが体に触れただけで、泣き出してしまったりした。柳原さんは、畑さんがボールを敷き詰めたビニールプールで遊ぶのが好きなことを知り、一緒に遊びながら半年かけて信頼関係を構築。ようやくリハビリの際に「一緒にプールに行こう」と誘うと、柳原さんに手を伸ばしつかまって立つようになった。
岡崎さんもじっくり時間をかけてリハビリに着手した。いま畑さんは座っているときにバランスを自分で直せるようになっている。「畑さんが安心できる環境を整えることに一番気をつけました。リラックスがリハビリではとても大切です」と岡崎さんは話す。
また竹内昭大さん(21)は手足や体の筋肉が過剰に緊張していて、食事は職員にスプーンで食べさせてもらっていた。「隠れている力を引き出せば、自分のペースで食べられるのではないか」と思った柳原さんは岡崎さんと協力して、マッサージに加え、腕を支える台や手のゆがみに合わせた握りのスプーンを用意した。練習を続けた結果、竹内さんは柳原さんが食事をスプーンに乗せると自分で口へ運べるように。
さらに竹内さんは、もともと気持ちを表現するのが難しかったが、自分でスプーンを口へ運ぶうち、食べる順序を選ぶことで「違うものを食べたい」という気持ちを表現できるようになった。
体のリハビリが心の機能を呼び覚ました。
三恵園日記
「リハビリと心の機能」